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「くちなし」彩瀬まる|当たり前の価値観と愛の定義を覆す問題作【直木賞候補作】

くちなし

こんにちは。シーアです。(@seer1118b

美しさと、えぐさと、儚さと、生々しさと。

見ないふりをしたいようなことを、目の前につきつけられるような世界観。

目を背けたいのに、視線が離れてくれない、そんな作品をご紹介します。

「くちなし」彩瀬まる

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直木賞候補作でしたが、受賞にはならず…でも、正直、直木賞らしくないなって感じていました。

なぜなら、既存の価値観を揺るがす、いろんな意味で「問題作」だから。

シーア
シーア
こんなの気持ち悪い、信じられない、って思う人もいるかも…?
ライト
ライト
「くちなし」を解説するよ!

「くちなし」彩瀬まる|短編全7作のあらすじ

表題作「くちなし」をはじめとした、全7作品の短編集です。

  1. くちなし
  2. 花虫
  3. 愛のスカート
  4. けだものたち
  5. 薄布
  6. 茄子とゴーヤ
  7. 山の同窓会

どの作品も、あらすじをすべて書いてしまうと、とたんに色褪せるような気がしています。

シーア
シーア
少しだけストーリーのかけらをお見せするので、ぜひ本作を読んでみてください。

第1話|くちなし

ユマは、不倫相手のアツタさんから、関係を終わりにしようと告げられます。

別れる代わりに、アツタさんの左腕をもらう…。

シーア
シーア
えっ…? 腕…!?

元恋人の腕を愛でて、一緒に暮らしますが、ある日妻がやってきます。

ライト
ライト
なんか修羅場の予感…。

第2話|花虫

運命で結ばれたふたりが出会ったとき、互いにしか見えない花が咲きます。

神秘的で、艶めかしい、不思議な花。

しかし、その花の謎を解こうとする人物が現れて…。

シーア
シーア
知りたいような、知りたくないような…。

第3話|愛のスカート

出張ヘアカットで再会した、元恋人で変わり者の同級生のトキワ。

レディースアパレルブランドを立ち上げて有名になっていたトキワですが、想いを寄せる人がいました。

どんなに願ってもこちらを向いてくれなかったトキワの、恋の手助けをしてしまう私。

シーア
シーア
切なくて、愛おしく感じちゃう…。

第4話|けだものたち

女は夜に、男は昼に…生きる時間を分断した世界。

男と女は、ほんの少し触れ合う時間で、家庭を築きます。

しかし、感情を燃え上がらせた女は、「けだもの」になって、男を食べてしまいます。

シーア
シーア
なんだか…幸せってなんだろうって考えちゃう。

第5話|薄布

夫とは会話がなく、息子は反抗期。

崩壊した家庭にストレスを感じて、後ろめたい「お人形遊び」に夢中になる私。

「お人形」とは、異国の少年。戦火を逃れて運ばれてくるのです。

シーア
シーア
人身売買…!?

第6話|茄子とゴーヤ

夫が亡くなり、娘達も出ていき、ひとりになった私。

思い立って、町のオウミ理容室で、髪を茄子色に染めてもらいます。

シーア
シーア
茄子色ってどんな色なんだろう…!?

オウミさんも、妻に出て行かれて、店先にゴーヤを植えて

第7話|山の同窓会

人間は、3回目の産卵でたいてい死んでしまう…。

卵を身ごもるたびに、身体は衰えるのに、それが美徳とされる世の中。

シーア
シーア
なんだろう。何とも言えない怖さがあるよ。

そんな中、一度も産卵せず、子どもを育てる乳母でもない私は、存在意義がわからないでいます。

友人が山に還る(=死)を見送る日々…。

「くちなし」は、彩瀬まるの問題作

「くちなし」は、どれも今までの「当たり前」をなぞってくれないお話ばかり。

グロテスクで、艶かしくて、人によっては嫌悪感を抱くかも。

シーア
シーア
私も実は、「薄布」「山の同窓会」はちょっと受け入れがたかったな…。

どれも、まったく違う世界の物語ですが、この短編集の根底に流れている空気感は同じものを感じます。

誰かを愛おしいと思う気持ちと、傷つけたい、憎い、奪いたいと思う気持ちは紙一重。

愛すれば愛するほど、憎らしくなるし、奪いたくなるし、自分が自分じゃなくなってしまう。

そんな、狂おしいほどの愛を、胸焼けするくらい受け取るような、そんな作品です。

シーア
シーア
あなたは、「くちなし」を読んだあと、愛の形をどう定義しますか?
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シーア
シーア
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「骨を彩る」彩瀬まる|大切なものを失ったことのあるあなたに読んでほしい本こんにちは。シーアです。(@seer1118b) あなたは、大切なものを失ったことがありますか? 埋められない穴を感じながら...
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