こんにちは。シーアです。(@seer1118b)
林業をテーマにした、一風変わったお仕事小説をご紹介します。
神去なあなあ日常 三浦しをん
田舎暮らしの良さ、自然と向き合い生きることを考えさせられます。
「神去なあなあ日常」は、林業に従事することになった青年の成長物語
主人公は、横浜育ちの18歳、平野勇気。
勉強は嫌いだし、かと言って就職するのも気が進まない。高校卒業後は、だらだらフリーターで食っていくつもりでした。
それなのに…担任の先生と親がグルになって、神去村で林業の見習いをすることに。
こうして、勇気は神去村へと向かうのでした。
強制的に、本人の意志とは無関係に…
個性的な登場人物たち。勇気と直紀の恋の行方は?
勇気がやってきた神去村には、個性的な人々が、自然と共存していました。
「なあなあ」は方言で、「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」みたいな意味。
他にも、語尾に「な」がついたりして、なんとものんびりな印象です。
特に、女性が全員美人で、勇気は「美人の産地」と表現しています。
- 平野勇気 都会育ちの18歳。林業の見習いで神去村にやってきた。
- 飯田与喜 金髪がトレードマーク。山仕事の天才。勇気の居候先。
- 飯田みき ヨキの妻。感情が激しく、ヨキが好きすぎてしょっちゅうケンカしている。
- 繁ばあちゃん ヨキのばあちゃん。しわくちゃのまんじゅうみたいにちんまり座っている。
- ノコ ヨキが飼っている犬。山にも連れて行く。
- 中村清一 中村林業の社長で、勇気の雇い主。神去山の大地主でもある。
- 中村祐子 清一さんの妻。直紀の姉。
- 中村山太 清一さんの息子。村で唯一の子ども。勇気はよく遊び相手にされている。
- 直紀 祐子の妹。神去小学校の教師。勇気が一目惚れした相手。
ヨキの豪快っぷりと、みきさんとの夫婦関係がほほえましいです。
みきさんの機嫌は、おにぎりの具やご飯に反映されるので、重要なのです。
大自然を畏れ、敬う神去村の人々。
神去村は、携帯の電波も入らず、ローカル線の駅まで、車で1時間かかります。
横浜にいた勇気には、信じられないくらい原始的な暮らし。
山に入るようになって、勇気はその美しさ、季節によって色を変えるところに、不思議と魅せられていきます。
山は、ときに、豹変したように厳しい天候になります。
こわくて、うまく踏み入ることもできなくて、でもいつだってうつくしい。
神去村の人々は、大自然と、目に見えないものを敬い畏れる心をもっています。
神聖で畏敬なるものを感じさせる風習がたくさんあります。
神おろしという、霧が山の上から降りてくる自然現象。山に鳴り響く太鼓のような音。
そんなものと触れ合っていると、畏れを抱かずにはいられないのです。
山太の神隠し事件では、繁ばあちゃんの予言に基づいて、身を清めて、白装束で神去山の神様のもとへみんなで迎えに行きました。
勇気からしたら「非現実的じゃないの?」「迷信だよね?」と思うようなことが、神去村では、当たり前のように信じられています。
「山ではなにが起こるかわからない。最後は神頼みしかないんだよ」という、清一さんの言葉の意味が、だんだん分かってきます。
勇気の素直さと頑張りが、神去村に受け入れられる
オオヤマヅミさんの大祭では、勇気もヨキたちに混じって、神去山に登ります。
よそ者の勇気を、神去村の伝統的なお祭りに参加させることに、反対する人もいました。
住民の絆が深い分、よそ者への抵抗感も強いのです。
山仕事に謙虚に向き合い、下手くそでも少しずつ成長してきました。
神去村の人たちとも、林業という未知の世界にも、逃げずに向き合いました。
フリーターのままダラダラ暮らそうとしていた勇気が、神去村に根付こうとしています。
なりゆきとはいえ、振り返ってみれば、大きな成長ですよね。
続編|神去なあなあ夜話
続編もあります。「なあなあ」な神去村の人たちにも、山の仕事にも馴染んできた、勇気の暮らしを描いています。
古風な習慣てんこもりなのに、細かいことは気にしない人々との暮らしに、ツッコミどころ満載です。
それも受け入れて、立ち上がった上での、今の明るさや強さなのだと思い知らされます。
勇気と直紀の距離も、ゆっくりじわじわ縮まっていくので、乞うご期待。
すぐシモの話に結びついちゃうくせに、行動はオクテなんだよね…。
映画|WOOD JOB!神去なあなあ日常
2014年に映画化されています。主演は染谷将太さん。
ヨキは伊藤英明さん、直紀は長澤まさみさん。
キャストは原作のイメージ通りな気がします。
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