「虹にすわる」 瀧羽麻子
久しぶりに心がほっこりする本だったなぁ🪑🪑
正反対で不器用なふたりが
もどかしいような、愛おしいような…😊なんとなく続編もありそうに感じるラスト✨https://t.co/k3ES5qOAAV pic.twitter.com/7WzUpgHVvh
— シーア🍀よくばりブロガー (@seer1118b) November 17, 2019
昔の夢を諦めても、ずっと年月が経ってから、思いがけず叶えられるかもしれない…。
未来に期待したくなる、希望がわいてくる小説をご紹介します。
「虹にすわる」 瀧羽麻子
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東京での仕事に疲れた徳井と、夢見がちで天才肌の魚住が、ふたりで椅子工房を立ち上げる…
ふたりの、不器用ながらも心温まるやりとりが、なんとも癒される小説。
お互いの得意なことを活かして、足りないところは補い合いながら、デコボコでも前に進む彼らを応援したくなりますよ。
「虹にすわる」瀧羽麻子|登場人物
「虹にすわる」は、大学時代を一緒に過ごした、ふたりの男たちが主人公。
- 徳井律…東京で働いていたが、地元に帰ってきてじいちゃんの修理屋を手伝っている。職人気質で細かい作業が得意。慎重で神経質な性格。
- 魚住光…有名家具工房に就職したが、訳あって退職。椅子を愛している。デザインが得意。細かいことは気にしないタイプ。
彼らは、大学で建築や造形を学んでいた仲間でした。
魚住は、木製家具の中でも、特に「椅子」が好きで、愛しているといってもいいほど。
大学を選んだのも、憧れの建築家の講義があったからだし、各地の有名な家具職人が作った椅子を見に行くほどのこだわり。
魚住は、「いつかふたりで椅子工房をやろう」と語り合ったときの気持ちのまま。
ですが、実際には、卒業後のふたりはお互い別々の道に進み、違う現実を生きていました。
「虹にすわる」瀧羽麻子|あらすじ・内容
徳井は、一人暮らしのじいちゃんを案じて、東京の仕事を辞めて、実家に戻っていました。
じいちゃんは仏壇職人でしたが、今は引退して、近所の人を相手に細々と修理屋をしています。
徳井は、高齢で手元が怪しくなったじいちゃんに代わって、修理屋の仕事を手伝うように。
ですが、特にやりがいも熱意もなく…サボっているわけではないけれど、張り合いのない日々。
そんなある日、大学の後輩だった魚住がフラッと現れて、「ここにおいてほしい」と頼み込みます。
大手の家具工房に就職したはずの魚住でしたが、気に入った弟子ほど厳しく接する親方と合わず、ついに出ていくことになった様子。
魚住は、徳井と一緒に椅子工房を立ち上げるのが夢でした。
徳井は、現実派なので、「そううまくいくはずがない」「現実問題、どうやって注文を取ってくるんだ」と慎重です。
だけど、魚住がデザインした椅子を、徳井が木を削って作る…その作業は、抑えがたいくらい心が浮き立つのでした。
魚住の熱意と、周囲を巻き込むチカラに乗せられて、徳井も少しずつその気になってきます。
評判が広がり、軌道に乗ってきた頃に、ふたりがすれ違う事件があるのですが…。
仕事も恋愛も、すべてにおいて不器用なふたりだけど、ぎこちないながらも夢を叶えようと努力するのです。
幼なじみに元恋人…恋愛模様も気になる
徳井の幼なじみの菜摘は、よくご飯を食べに行く「いしやま食堂」の看板娘。
ふたりの椅子作りを応援してくれて、いしやま食堂にサンプルの椅子を置いてくれるなど、協力的。
地元で生まれ育ち、一度も離れて暮らしたことのない菜摘。
徳井がまたどこかに行ってしまうのではないか、と不安があっても、気丈で健気で、言葉を飲み込むタイプ。
一方、魚住は、付き合っていた彼女がいましたが、東京に置いてきてしまいました。
実は、魚住の彼女だった胡桃(くるみ)は、元勤務先の親方の娘。
本人もドール作家で、芸術の理解があり、魚住の椅子づくりへの執念もわかっています。
胡桃は、魚住を東京に連れて帰ろうとしますが、一度言い出したら聞かない魚住のことを考えて、無理には動きません。
ベタベタ甘い関係ではなく、パートナーといったところ。
徳井と菜摘、魚住と胡桃の関係も、物語の重要なエッセンスなんです。
別の登場人物の視点からも知りたくなる
徳井のじいちゃんの視点、幼なじみの菜摘の思い、胡桃のたくらみ…
もし、メインふたり以外の登場人物の視点から、それぞれの感情が語られたら、もっとストーリーに深みが出る気がします。
物語は、徳井の視点で進みますが、言葉足らずで全てを語らないので、どうしてももどかしいんです。
徳井が地元に戻ってきた理由、魚住が就職先の工房を追い出された理由、じいちゃんが孫の徳井には遠慮するのに魚住には頼れる理由…
どれもさりげなく語られてはいるけれど、はっきりした言葉にはされていません。
もっと思いを伝えてもいいんだよ、気持ちをぶつけちゃいなよ、と言いたくなるシーンも。
「虹にすわる」瀧羽麻子|夢を夢で終わらせないふたりの物語
「虹にすわる」は、忘れかけていた夢や、昔やりたかったことを、思い出させてくれる作品。
- 若い頃に諦めた夢がある人
- 挫折や失敗を経験した人
- 進学や就職で地元を離れた人
- 初心を思い出したい人
- 20代後半〜30代の若者
人間の一生は、あなたが思っているよりも長いもの。
実は、まだまだやれるのに、自分で勝手に「もうダメだ」って決めつけているだけでは?
虹に座れなくても、手の届く夢なら叶えられるかもしれませんよ。
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