2019年に読んだ本で、特におすすめの小説をご紹介します。
もともと、このブログで紹介している本は、どれもおすすめばかりなのですが、その中からとっておきの5冊をピックアップ。
2019年、読んでよかったおすすめの小説
小説って、世界に没頭できるのがとても好き。
心温まるお話、考えさせられるお話、ファンタジー風味など…系統はバラバラですが、どれも面白くておすすめの本ばかり!
「ひと」小野寺史宜|ひとりになって感じる、人間のあたたかさ。【本屋大賞2位】
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主人公の柏木聖輔は、幼いころに父親を亡くしています。
鳥取から上京し、東京の大学に進学しましたが、二十歳の秋、女手ひとつで育ててくれた母親も急死してしまいます。
自分の主張が強くなく、常に何かを手放してきた聖輔。
前から人が歩いてきたら、道を譲ってあげるし、大事にしていたベースも、バイト先のパートさんの息子にあげてしまう。
だけど…そんな聖輔が、最後に自分の気持ちを言葉にします。
ひとりだけど、ひとりじゃなかった。
肉親はいなくても、赤の他人だって、聖輔を助けて親身になってくれる…。
心のつながりが大事なんだと思わせてくれる作品です。
2019年本屋大賞2位の作品ですが、個人的には大賞を取ってほしかった!
「線は、僕を描く」砥上裕將|喪失感を抱えた青年が、水墨画で再生していく物語
青山霜介は、交通事故で家族を亡くし、喪失感を抱えてぼんやりと生きています。
そんなとき、水墨画の巨匠・篠田湖山に出会い、問答無用で内弟子になることに…。
ですが、湖山の孫で水墨画を志す千瑛(ちあき)は、祖父がいきなり素人を連れてきたことに納得いかず、「来年の湖山賞をかけて勝負する」と宣言します。
水墨画を通じて、自分を見つめ、自然と向き合い、徐々に再生していく青山くん。
秘めたる才能が開花し、ゆっくりと悲しみが癒やされていく様子は、何かを失ったことのある人には染み渡るはず。
なんと、作者の砥上裕將さん自身も水墨画家で、圧倒的な説得力とリアリティのある作品です。
「麦本三歩の好きなもの」住野よる|天然図書館員女子の何気ない日常
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麦本三歩(むぎもとさんぽ)は、図書館で働く、天然でちょっとドジな20代女子。
ミスをして先輩に怒られたり、謝るときに「しゅみません」と噛んでしまったり、そんな当たり前の日常。
誰かが死んだり、事件が起こるようなお話ではありません。
ときどきいいことを言ったり、鋭いメッセージを発することもある三歩から、目が離せません。
好きなものがたくさんあると、毎日はきっと楽しい。
そんな普通の日々が愛おしくなりますよ。
個人的には、2020年本屋大賞狙えるんじゃないかと予想しています。
「傲慢と善良」辻村深月|真の自立とは? 結婚・婚活の価値観を問う作品
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真実と架(かける)は、婚活アプリで知り合い、付き合っています。
冒頭、真実がストーカーに狙われている緊迫したシーンからはじまります。
それがきっかけでふたりは結婚を前提に同棲をスタートしますが、ある日、真実は忽然と姿を消してしまいます。
人を疑ったり、試したりすることは「はしたない」とされてきたのに、恋愛・結婚適齢期になると、突然駆け引きが当たり前になる…。
自意識や自我、周囲との対立を描きながら、本当の意味で自立するとはどういうことか…を考えさせられる作品。
現代は、結婚せず独身を貫く人も多いし、ひとりでも楽しく生きていける時代。
だけど、誰かに選ばれたい、共に生きていく人がほしい…そう願う人の本質は、いつの時代も変わらないのかもしれません。
「自由なサメと人間たちの夢」渡辺優|狂気と美しさ、生と死が隣合わせの新感覚小説
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装丁やタイトル、たたずまいのすべてに惹かれ、ひとめぼれした作品。
ホラーのようなファンタジーのような、不思議な感覚の短編集です。
「死にたい」という希死念慮や、夢と現実の境目を見失いそうな感覚、サメに救いを求める気持ち…。
ギリギリの均衡を保ちながら、それでも生きていこうとする、現実に光を見出そうとする主人公たち。
自分なんてゴミだ、クズだと、自己肯定感のカケラも持てなくても、この世に絶望する前に、爪痕を残そうとしています。
生きにくい、息苦しい…そう感じるすべての人に読んでほしい作品。
2020年も、もっと新しい本と出会いたい
2019年は、いい小説にたくさん出会えた1年でした。
とっても悩ましかったけれど、厳選しただけあって、ご紹介した5冊は「読まなきゃ損!」と言い切れる傑作ばかり。
2020年も、いろんな作品と出会える1年にしたいなと思っています。
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本屋大賞は、書店員さんが「うちの店で売りたい」「お客さんにおすすめしたい」という本を選ぶもの。
選出作品は、例年どれもおすすめの作品ばかり。
この記事で最初にご紹介した「ひと」も、2019年本屋大賞ノミネート作品だったことがきっかけで読みました。
2020年の本屋大賞も、きっと豊作揃いのはずなので、期待しています。
本を読みたいけれど、かさばるから持ち運びにくい、置く場所がない…とお悩みの方には「Kindle」がおすすめ。
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