こんにちは。シーアです。(@seer1118b)
シニカルでクスリと笑える、パロディ絵本をご紹介します。
表紙のおおかみが片手に持っているのは、もちろん絵本。
みんなおおかみを怖がるけれど、本当はおおかみにだって言い分があるんです!
「3びきのこぶた」「おおかみと7ひきのこやぎ」「あかずきんちゃん」などの名作童話をよく知っている大人にこそ、オススメしたい絵本です。
「おおかみだってきをつけて」の絵本データ
- 作・絵 重森千佳
- 出版社 フレーベル館
- 出版年 2014年2月
- ページ数 32ページ
- サイズ 26cm×20cm
- 楽しめる年齢の目安 大人向け
作者の重森千佳さんは、この絵本がデビュー作となります。
メルヘンでファンタジックな絵柄は、まるでグリム童話さながら。
それなのに、お話の内容はとてもシニカルなのがツボ!
「おおかみだってきをつけて」の内容
おおかみは、小さい頃、おばあちゃんに絵本を読んでもらって育ちました。
絵本の中で、おおかみはいつだって悪者。
だけど、本当に怖いのは、おおかみのお腹に石をつめこんだり、大きなお鍋で煮て食う「あいつら」なんだ!
パロディとして登場する名作絵本たち
- 3びきのこぶた
- おおかみと7ひきのこやぎ
- あかずきんちゃん
怖いやつらに気をつけながら、森を歩いていると、おいしそうなこぶたが3びき。
大きいの、中くらいの、小さいの…絵本とおんなじだ!
絵本をマニュアルにして、じっくり読み返しながら対策するおおかみ。
小さいこぶたには気をつけなくちゃ…。
勉強熱心で慎重なおおかみ。
その裏をかき、物語を裏切る、こぶた・こやぎ・赤ずきんちゃん。
「おおかみだってきをつけて」の魅力を解説
「おおかみだってきをつけて」のおもしろさを、3つピックアップします。
- 定番の物語を裏切る痛快さ
- 細部までこだわった絵が素敵
- 逆の立場から見ると、視点が変わる
定番の物語を裏切るところが痛快!
原作の童話では、こやぎも赤ずきんちゃんも、いかにもか弱く純粋に描かれています。
だけど、この作品では、結構みんなしたたか。
赤ずきんちゃんなんて、おおかみに荷物を持たせて、ちゃっかりその間に出し抜いてしまうんですよ。
おおかみは、赤ずきんちゃんの策に乗って、素直に手のひらで踊らされてしまいます。
7ひきのこやぎたちだって、お留守番しているおうちで、おおかみ対策の絵本を読んでいるんです。
それに、お腹を裂くことができるおおかみのぬいぐるみで遊んでいる子もいて、予習に余念がありません。
細かいところまでこだわった絵が素敵!
実は、私がこの絵本を手に取ったのは、斬新なストーリーがきっかけではありません。
表紙をたまたま見て、外国っぽいオシャレな絵に惹かれたから。
それに、細かいところまで凝っているんです。
例えば、おおかみのお部屋に飾られている家族写真…。
おおかみにもつらい過去があったのかも、と想像すると、ちょっとかわいそうになってきます。
逆の立場から見ると、視点が変わる
原作を読んでいるときは、まるで、一方的におおかみが悪いみたいに思っていませんでしたか?
だけど、おおかみの立場に立っているこの絵本では、どうでしょう。
なんだか、おおかみが一生懸命で、健気で、共感してしまいますよね?
この絵本は、文字の量や、お話の難解さだけで見れば、4〜5歳の子どもでも楽しめるものです。
だけど、自我が芽生える年齢の子どもは、本来、「自分目線」でしか物事をとらえられません。
その時期の子どもに、この視点の変化が楽しめるかな…? と考えると、ちょっと酷かなと思います。
未就学児には、その年齢に応じた、適切な絵本が他にもたくさんあります。
ぜひ、成長に応じた絵本を選んであげてくださいね。
シャレや皮肉がわかる、大人にこそ、「おおかみだってきをつけて」を読んでいただきたいです。
絵本を買う前に、みんなの感想が知りたい方や、気になる絵本の口コミが見たい方は、「絵本ナビ」がおすすめ。
絵本だけでなく、「はらぺこあおむし」「ねないこだれだ」「バムとケロ」などの人気絵本のグッズもたくさんありますよ。
年齢別・シチュエーション別の検索機能も充実していて、お気に入りの絵本にきっと出会えますよ。