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3月のライオン、毎回ドキドキしながら読んでいます。
零の熱く静かな、ときに激しい戦いを、一緒に追いかけながら…。
15巻では、零とひなちゃん(ひなた)のもどかしい関係が、ようやく一歩進展します。
さらに、恋模様だけでなく、零の将棋にも変化が現れます。
かつて天才と持ち上げられた若手棋士・あづさと、その師匠の、老いてなお進化し続けるベテラン棋士・田中七段との勝負。
対局の最中に零がたどり着く「まっくらな部屋」とは…?
零の成長と葛藤からも、目が離せません。
- 零とひなちゃんの関係が発展
- 野火止あづさ・田中七段との対局
- まっくらな部屋と、人のぬくもりを知ることへの怖さ
3月のライオン15巻|零とひなたの関係に変化が!
零は、将棋職団戦の審判を終えて、駒橋高校の文化祭に駆けつけます。
ひなちゃんが「ようかいカフェ」として、仮装して白玉ぜんざいを出すお店をするので、零にも見に来てほしいと言っていたから。
そこで、零ちゃんとひなちゃんの関係が進展します!
以前、川本父(クズ)が家を訪ねてきたときに、「ひなたさんとの結婚を考えてます」と勝手に宣言した零。
ですが、ひなちゃん本人はもちろん、他の誰にも想いを伝えていませんでした。
ひなちゃんにとって、零は、おねいちゃんが拾ってきたニャー(猫)と同じ位置づけでした。
ですが、時を経て、助けてあげるだけの存在ではなく、逆に助けてくれる、頼りになる存在に…。
後夜祭のファイヤーパーティーの炎を眺めながら、ふたりはいろんな話をします。
きっと…ふたりの想いはつながっていて、確かめ合わなくても、通じ合えていたはず。
不器用で独りよがりな零ちゃんの、新しい幸せを、応援したい気持ちになりました。
ひなたが零の呼び方を変えなくなった
これまで、ひなちゃんが零のことを呼ぶとき、「零ちゃん」「桐山くん」「零くん」とコロコロ呼び方が変わっていました。
ですが、15巻では、一貫して「れいちゃん」と呼んでいます。
15巻は、ふたりの関係性に、ひとつの答えが出せたターニングポイント。
だから、ひなちゃんの気持ちが落ち着いて、呼び方も安定したのではないでしょうか。
3月のライオン15巻|元天才、野火止あづさとの対局
将棋の面でも、獅子王戦の対局相手が零を次なるステージに連れていきます。
一人目は、野火止あづさ。6段、B級2組、21歳。(男です)
あづさの登場シーンを見るにつけ、理屈っぽくて、こだわりが強くて、ねちっこい奴。
彼は、高校生の頃にプロ棋士となり、天才と評されたものの、その後、二海堂や零の登場により、さほど注目されなくなりました。
そのため、天才ともてはやされる棋士に対する反発心が、彼のエンジンになっています。
俺は天才だ、あいつらとは違うんだ、という強い自己意識。
徹底的に零の棋譜を研究して、対策や戦略を練って挑んできました。
弱点も得意戦法も、これといって無い桐山零を、「慢心しないタイプのウサギ」「量産型で廉価版の宗谷冬司」とし、天才ではなく、努力する秀才だと断じます。
時間をかけた研究や鍛錬も、相手の指す手ひとつで、一瞬で役に立たなくなるのが将棋の常。
だけど、何度も戦局をひっくり返されても、あづさの燃える野心、己に対する期待や怒りは、簡単には折れないのです。
3月のライオン15巻|仕事と育児を乗り越えたベテラン重戦車・田中七段
もう一人の対戦者は、田中七段。
B級1組、54歳のベテラン棋士で、あづさの師匠でもあります。
田中七段は、ずっと重戦車のような粘り強い将棋を得意としていましたが、ここ数年でガラッと戦法を変え、隙を突いて刺すような攻めになりました。
年を取ってから、長年のやり方を変えるのは、想像以上に難しいこと。
自分で作り上げたスタイルを、自分で否定してアップデートする…柔軟な思考の持ち主。
実は、田中七段は、編集者として働く妻と共に、病弱な息子二人の面倒を見てきました。
棋士は、体力も精神力も果てしなく使う職業。
だからこそ、田中七段の妻は、専業主婦になって夫を支えたほうがいいのではないか…と悩んでいました。
ですが、妻には妻の人生や夢があります。
田中七段は、妻を犠牲にすることなく、一緒に頑張ると誓いました。
私も、仕事にやりがいを持つひとりの人間として、田中夫妻の決意に共感しました。
田中七段は、自分の将棋だけでなく、妻の人生、子どもたちの生活、全部背負って走り続けてきたのです。
背負ってきたものの重さは、覚悟になり、自分を支える原動力になります。
その長い道のりの先に今があって、ようやく子どもの手が離れ、自分の将棋を改めて再構築する余裕ができたのです。
零は、まだまだ自分のことで精いっぱい。
周りが見えていなくて、どうしても自分勝手なのです。
将棋の盤の上では、そんなの関係ない…とも言い切れません。
性格や思考や、これまでの過去が、どうしようもなくむき出しになるのが将棋だから。
田中七段と零の関係、あづさの関係にグッとくる
田中七段は、零との対局を終えて、後日零にちょっとした打ち明け話をします。
零の実の父親と、奨励会で一緒だった時期のこと。
田中七段の下の息子と、零は同い年。
息子ほど年の離れた青年に、自分が命をかけて両立してきた将棋で負ける…そのときの田中七段の心情を思うと、なんだか胸が詰まります。
そんな風に失ったものを数えたりせず、零にプロとしての敬意を持ち、対等に扱う田中七段は、尊敬できる人。
あづさは、田中七段のことを「憧れはないし、輝くものを感じない」とキッパリ。
ですが、きっと田中七段はそんなことお見通しでしょう。
かつて、零も格上の棋士をナメていたように、あづさもまた、田中七段の本当の凄さを分かっていないのです。
まっくらな部屋|人のぬくもりを知った零の葛藤
「まっくらな部屋」とは、零が対局中にたどり着く心境をさします。
経験則でこなせる範囲を超えて、答えもヒントもなく、全て自分の判断だけで進まなければいけない領域。
相手の棋士もプロだから、零への研究を深めています。
強い相手と対戦すればするほど、まっくらな部屋が早く訪れてしまう…。
それに…川本家の人たちと出会って、零は幸せですが、同時に恐れも感じています。
勝つしか道はない、負けた人間に存在価値はない、とひたすらに自分を追い込んでいた頃の、ネガティブでハングリーな零は、徐々にほどけていきました。
リラックスすることを覚えたのはいいけれど、集中力も失っているのではないか。
実の家族を失って、拾ってくれた将棋の家も出ていって、今またよその家でぬくもりを知った自分への報いなのではないか…。
悩む零に、林田先生がかけてくれる言葉が、何よりも心強く響きます。
やっと知ったぬくもりを、絶対に手放してはいけない。
まるで、読者の気持ちを代弁してくれているかのようで、とても頼もしいのです。
作者、羽海野チカさんの愛猫ブンちゃんが幕間を飾る
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作者、羽海野チカさんの愛猫、ブンちゃんが亡くなりました。
3月のライオンといえば、猫の描写が多く、どれもとても愛にあふれています。
間違いなくその一端を担ったブンちゃんが旅立ったことは、大きな衝撃でした。
「3月のライオン」15巻では、ひとつひとつのお話の合間に、ブンちゃんが描かれています。
いつも、零ちゃんの成長とともにあったブンちゃんの旅立ちが、涙を誘います。
3月のライオン|2007年の連載開始から12年
3月のライオンの連載スタートは、2007年。
それから10年以上が経ち、登場人物たちはゆっくりゆっくり時を重ねてきました。
隔週発行のヤングアニマルに連載しているものの、ここ最近は月1回の掲載になることも。
作者の羽海野チカさんご自身や、ご家族の体調不良などで休載も頻繁にありました。
それもあって、12年経った今も、桐山零はまだ20歳の高校生。
少しずつ丁寧に進むお話を、これからも一緒に見届けたいですね。
3月のライオン15巻の見どころは、零とひなたの関係が進む
3月のライオン15巻では、零を取り巻く環境が大きく動きました。
- 零とひなちゃんの関係が発展
- 野火止あづさ・田中七段との対局
- まっくらな部屋と、人のぬくもりを知ることへの怖さ
いつまでも、家族を失ったことや、生きるために将棋を選んだことを、自分への罰みたいに思う必要はないんだよ。
これからも、零ちゃんの成長を見守っていきたいです。
余談ですが、15巻では、二海堂が回想シーンにしか出てこなかったので、元気かな…と案じています。
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3月のライオンは、傷ついて満身創痍でもひたすら前に進む、プロ棋士・桐山零の物語。
つらい過去を背負って進む零ちゃんだからこそ、応援したくなるのです。
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