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「子どものうつに気づけない」児童精神科医でも、我が子には冷静になれない現実

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こんにちは。シーアです。(@seer1118b

子どもも、鬱病になる…知識として知っていても、我が身に降りかかるとは思ってもみないもの。

シーア
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我が子がうつかもしれないと感じたとき、親はどうすればいいんだろう?

児童精神科医・医学博士で、子どものうつを専門に診てきた方の著書をご紹介します。

「子どものうつ」に気づけない! 医者だから言えること 親にしかできないこと 傳田健三

教科書通りの答えなら、誰でも言えます。

ですが、傳田先生は、ご自身も息子さんも鬱を経験していて、体験談がとてもリアル。

より当事者の視点に立って、患者さんの気持ちを理解できるようになったといいます。

そんな傳田先生の言葉だからこそ、信じてみようと思わされるのです。

ライト
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「子どものうつに気づけない」を紹介するよ!

著者の傳田健三氏は、子どもの鬱・メンタルヘルスの専門家

著者の傳田(でんだ)健三氏は、子どもの精神医学を専門に研究されています。

子どものうつが、日本で社会問題として取り上げられる前から、子どもの精神衛生に取り組んできた方。

2003年に、文部科学省が国として初めて取り組んだ「子どものうつ」の調査で、チームリーダーを務められた実績があります。

シーア
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そんなすごい人なんだね!

専門用語や、医学的な見地も出てきますが、わかりやすい文章ですよ。

この本は2007年刊行で、すでに10年以上が経っているわけですが、依然として子どもを取り巻く環境は厳しいまま。

今は、子どももうつ病になるという前提はかなり浸透していて、情報も充実しています。

厚生労働省|子どものメンタルヘルスに関する情報サイト

当事者の視点で語られる、大人と子どもの鬱の実態

シーア
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傳田先生ご自身も、息子さんも、うつを経験されたんだって…!

傳田先生は、多忙な大学病院での勤務に区切りをつけ、家族を連れてイギリスに留学されます。

そのときはよかったのですが、帰国後、体調を崩され、これまでできていたことができなくなる、思考能力が低下するなどの鬱症状をおぼえます。

ライト
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環境の変化って、自分で思う以上にストレスになってたりするんだよね。

それでも、ご自身のことは、知識を活かして、同僚医師に睡眠薬を処方してもらうなどして乗り切りました。

しかし、その後、息子さんが不登校になり、家族は機能不全に陥ります。

ライト
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息子さんが鬱になったとしても、患者さんを治療するときみたいにカウンセリングとかしたらいいよね?
シーア
シーア
そうなんだけど、親子って甘えもあるし、そうセオリー通りにはできないもんなんだよ…。

精神科医なのに、我が子のこととなると、途端に距離感がつかめなくなり、患者さんに接するようには対応できません。

感情的に怒鳴ったり、「なぜそんなことをしたんだ」と問い詰めたり…。

精神科医が、患者の親に「こんなことを言ってはいけませんよ」という例のような、典型的な過ちをしてしまう。

親子だからこそ、なぜわからないんだという苛立ち、小さい頃を知っているからこその期待、父親としての葛藤…とてもリアルで、勝手に泣きそうになりました。

シーア
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私も長男に余計なことを言ってしまって後悔することあるけど、お医者さんでもうまくいかないんだって思ったら、ちょっとホッとしたよ…。

理想通りにいかない現実も受け止めてくれる、優しい文章

シーア
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うちの長男は、中学から不登校になっちゃったよ。
理由なき不登校。未だに原因はわかっていません。

こういう本でありがちなのは、「親が変われば子どもが変わる」といったような論調。

子どもがうつになってしまった、うちの子はうつかもしれない…、と思って本を手に取った親は、救いを感じる前に打ちのめされるでしょう。

どんな親も、基本的に自分の子育てに自信がないので、専門家が「親が悪い」と言えば、素直に従ってしまうもの。

シーア
シーア
親のあり方を責められているような気持ちになるよね…。

本書は、傳田先生ご自身が鬱の経験者なので、当事者の気持ちも汲み取って解説してくれます。

患者も、親も、医者も人間だから、理想通りにいかないこともある

そんな優しさがにじみ出ていて、だからこそ信頼してみたいと思うのです。

長男が不登校になってから、いろんな本を読んで勉強中。
学校に行きたくない君へ
「学校に行きたくない君へ」人生の大先輩、憧れの著名人に不登校児がインタビュー日本で唯一の不登校の専門誌、「不登校新聞」を知っていますか? 実は、創刊から20年を超える、息の長い新聞なんです。コンテンツの中でも、特に多く読まれているのが、著名人へのインタビュー記事。私自身、中学1年生の長男が不登校になり、思いがけず「当事者の親」という立場になりました。苦しんだからこそ、見える視点があります。...

児童精神科の現場、鬱の治療経過のノンフィクション

シーア
シーア
外来診療の現場で起こっていることを語る、ノンフィクション小説のような形式だよ。

家族の形、心のありようは人それぞれで、道はひとつではありません。

診察された患者さん、ひとりひとりのケースを、どのように治療して解決に導くのか…ハラハラしながら見守りました。

場合によっては、複雑な要素が絡み合って、一筋縄ではいかないことも。

子どもひとりだけでなく、父親と母親の関係、同居の祖母と母親の関係、父親への不信感など…。

改めて、子どもはひとりで生まれて大きくなるわけではなくて、周囲との関わりの中で成長していくものなんだ、と痛感します。

親の影響はもちろん大きいのですが、それだけではありません。

私たちは、親に多大な責任を負わせすぎなのではないか?と考えさせられます。

シーア
シーア
裏を返せば、私は長男の不登校や、次々巻き起こすトラブルに、そこまで責任を感じる必要ないのかも…?
ライト
ライト
やれることはやってあげればいいと思うけど、それ以上はどう頑張っても無理だし、限界はあるよね。

「子どものうつに気づけない」精神科医でも我が子の対応は難しい

私にとって、本書を読んで得たいちばん大きな収穫は、精神科医でも我が子のことはうまく対応できないという事実でした。

特に、SNSなどで長男のことを書くと、「○○すればいいだけ」「○○しない親(私)が悪い」といった反応を頂くことが多々…。

シーア
シーア
他人の悩み事なら、簡単に答えが出せるし、意見したくなっちゃうものなんだろうね。


断片的な書き込みだけを見て、いろんな人が言いたいことを言うのがSNSの常。

いちいち気にしないでいようとは思っていますが、それでも弱っているときは堪えます。

だけど、精神科医でも、同僚の精神科医にアドバイスされて「そんなこと言われなくても分かってる」ってイライラするんだって思うと、正直めちゃくちゃホッとしました。笑

子どもの鬱、不登校、思春期、総合失調…など、当事者の親として悩む方には、救いになる1冊です。

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シーア
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長男の子育てでは、本当に悩まされています…。

私のメインブログ「シーアカフェ|投資・節約・陸マイラー情報発信中」では、子育ての悩みや葛藤を書いています。

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年間120冊の本を読んできた経験から、おすすめの本をご紹介します。 「絵本講師」の資格を持っています。大人にも子どもにも絵本の魅力をお伝えしたい! 夫・男子ふたり・犬と暮らすワーキングマザー。 仕事も読書も育児も、自分のやりたいことを全部諦めない、欲張りさんです。好奇心旺盛で、いろんなことに興味があります。
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