絵本・児童書

「ボビーとそらいろのヨット」いつまでも楽しめるものと、今だけのものの違い。

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こんにちは。シーアです。(@seer1118b

個人的にすごく好きで、私自身の心の栄養になっている絵本をご紹介します。

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シーア
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絵もお話も大好き。私にとってはバイブルとなる絵本なんです!
ライト
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そんなに有名じゃないけど、みんなに知ってほしいな。

ずっと残る、いつまでも楽しめるものと、食べたらなくなってしまうような、いわゆる「消え物」の違い。

子どもはとにかく「今」が大事だから、それらの違いを理解するのは、とても難しいもの。

だけど、この絵本を読めば、自然とどういうことなのかが伝わるんです。

シーア
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「ボビーとそらいろのヨット」の魅力を解説します!

「ボビーとそらいろのヨット」の絵本データ

  • 作・絵 マーガレット・バーディック
  • 訳 渡辺茂男
  • 出版社 童話館出版
  • 発行日: 1995年11月(89年刊行の復刊)
  • ページ数 32ページ
  • サイズ 21cm×17cm
  • 楽しめる年齢の目安 5歳から

マーガレット・バーディック氏については、調べても何の情報も見つかりません。

副題に「カエデのもりのものがたり」とついていますが、シリーズの他作品も出ていないみたいです。

ライト
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日本語訳されていないだけで、本当はあるのかもしれないけど…。
シーア
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すごく好きだから、もし他の作品もあるなら、読んでみたいんだけどなぁ。

童話館出版は、絶版になった優れた絵本を復刊する取り組みを行っています。

「ボビーとそらいろのヨット」も、1989年に発行されたあと、絶版になりましたが、1995年に童話館出版より復刊されました。

復刊した絵本以外も含めて、子どもの年齢に合わせた絵本の定期配送サービス「ぶっくくらぶ」で届けています。

シーア
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子どもの本を取り巻く環境を、真剣に考える出版社なんです!
ライト
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復刊のおかげで、こうして出会えたんだから、奇跡だよね。

「ボビーとそらいろのヨット」のあらすじ

かわうそのボビーは、アナグマさんのお店で、素敵な空色のヨットを見つけました。

ヨットには、小さなカードがついていて、こう書かれています。

「ビーバーさんの さくひん――いいものと こうかんします」

ボビーは、空色のヨットが欲しくて、ヨットと交換できるような「いいもの」を探します。

「あんな すてきな ヨットと、こうかんできる いいものって、なんだろう?」

ボビーは、カエデの森できれいな落ち葉を拾って、アナグマさんのお店に持っていきます。

だって、とてもきれいだし、前にお母さんにあげたら喜んでくれたから…。

ですが、アナグマさんは、こう言います。

「ビーバーさんはきっと喜ばないと思うよ。冬になれば、きれいな落ち葉も茶色になってカサカサ。だけど、君には空色のヨットが残るだろ」

シーア
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アナグマさんは、落ち葉のキレイさは今だけのものだ、って言いたいんだね!
ライト
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小さい子にも分かる説明で、ボビーも納得しているね。

次に、ボビーは、ビーバーさんが好きそうな、とてもおいしいニレの枝を集めてきたけれど、結果は同じ。

ニレの枝も、ビーバーさんが食べてしまえば、なくなってしまいます。

小川の底でキラキラ光っていた小石を拾ってみたけれど、それも乾いてしまえばただの石ころでした。

ボビーは、カエデの森の向こうに沈む夕日を見ながら考えます。

空色のヨットと交換できる、美しい、いいもの…ビーバーさんがいつまでも楽しめるもの…

シーア
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結末も、とてもステキ!

ボビーは、ビーバーさんのために絵を描きました。

自分が美しいと思った、カエデの森の夕日と、ビーバーさんに見せたいと思ったきれいな落ち葉、川底の光る小石、おいしそうなニレの枝。

アナグマさんも、これには納得。「素晴らしい絵だよ!」と言ってくれます。

ビーバーさんは、ボビーの絵をいつまでも喜んでくれるのでした。

「ボビーとそらいろのヨット」の3つの魅力を解説

「ボビーとそらいろのヨット」の素晴らしさを、3つピックアップします。

  1. いつまでも残るものと、今しか楽しめないものの違いが分かる
  2. 相手のメリット・自分のメリットの等価交換が学べる
  3. ものを大切に扱う気持ちを身につける
シーア
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お説教っぽくなく、お話の中ですんなり理解できるのがステキ!
ライト
ライト
アナグマさんをはじめ、ボビーの周りの大人がいい人だよね。

いつまでも残るものと、今しか楽しめないものの違いが分かる

ボビーは、空色のヨットを手に入れれば、ずっと遊ぶことができます。

シーア
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その対価って、どんなものがいいのかな?

月日が経つと劣化してしまうものや、食べ物は、一度楽しんだらそれっきりです。

キレイな色の葉っぱも、枯れてしまえばビーバーさんの手元には何も残らない。

おいしいニレの枝も、ビーバーさんが食べてしまえばおしまい。

水の中でキラキラ光っている小石も、乾いたら灰色のただの石ころ。

シーア
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現実社会でも、同じことですよね?

自分が、いつまでも楽しめるものを手に入れたいなら、それ相応の品物を差し出さなくてはなりません。

現代社会では、それが「お金」になっています。

お金は、ほとんど何にでも交換できるので、汎用性の高さでは敵うものはありません。

シーア
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だけど、ボビーのような子どもには、お金は払えないよね。

だからこそ、アナグマさんは、ビーバーさんが長い間喜んでくれるような「いいもの」を求めたのです。

相手のメリット・自分のメリットの等価交換が学べる

ボビーにとっては、いつまでも楽しめるものでも、ビーバーさんがそう感じてくれるかどうかは、また別の問題です。

作者であり売り主である、ビーバーさんが、喜んでくれるものでなくてはなりません。

「自分だったらこれがほしい」じゃ、ダメなんです。

シーア
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子どもにとって、他者の視点を身につけるのは、成長の過程で必要なこと。

子どもは、基本的に自分中心な生き物です。

だけど、集団生活など、人との関わりの中で、他者の価値観を尊重することを覚えていかないといけません。

アナグマさんの意見のおかげで、ボビーは、ビーバーさんのメリットを考える視点を身につけます。

自分以外の人が、自分とは違った感じ方・考え方をするんだと理解していきます。

そして、ついにビーバーさんの希望を叶えられる手段を思いつくのです。

ライト
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ビーバーさんは、自分のためにいろいろ考えながら描いてくれた、ってことも嬉しかったんじゃないかな?

ものを大切に扱う気持ちを身につける

ボビーは、ずっと空色のヨットのことばかり考えています。

目をつぶっても、空色のヨットのことを思い、夢にまで出てくるくらい欲しいのです。

シーア
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今の子どもたちが、ここまでひとつのもののことを欲することってあるのかな…?

お金を出せば、何でも手に入ります。

本だって、電子書籍など、家に居ながらにして読むことができます。

それに、「欲しい」と言えば、すぐに親が買ってくれる…なんておうちもあるでしょう。

ライト
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だけど、簡単に手に入れたものは、すぐ飽きてしまうかもね。

現代は、物がありあふれていて、本当に大切なものを見失ってしまいがち。

実は、人生に必要なものって、そう多くはないのかもしれませんね。

シーア
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私も物欲は多い方なので、我が身を振り返ります!

私にとって、運命的な出会いを果たした絵本

シーア
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私と「ボビーとそらいろのヨット」との出会いは、運命的でした…!

「ボビーとそらいろのヨット」の表紙絵が、絵本の定期便サービス「童話館ぶっくくらぶ」のパンフレットに載っていました。

淡い水彩画のようで素敵だな、と感じたのがきっかけ。

色もキレイだし、動物たちが、デフォルメされすぎず上品に描かれています。

昔好きだった、シルバニアファミリーを思い出すような…とにかく私好みの絵で、ものすごく惹かれたんです!

いつか読みたいとは思っていたけれど、そんなことも忘れかけた頃、図書館で偶然発見しました。

シーア
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それも、もう帰ろうかな~って時に、ふと目に飛び込んできて!

背表紙だけで、表紙が見えなかったにも関わらず、「この絵本…!」ってピンと来て、手に取らなきゃいけないって思ったんです。

ライト
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これぞ運命だね!

ストーリーにも、様々なメッセージがこめられていました。

とても大事な本になりそうだと思って、手元においておきたい気持ちになり、迷わず購入。

シーア
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その直感は当たっていました!

出会いから10年が経つ今でも、私にとっていちばん大切な絵本のひとつです。

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年間120冊の本を読んできた経験から、おすすめの本をご紹介します。 「絵本講師」の資格を持っています。大人にも子どもにも絵本の魅力をお伝えしたい! 夫・男子ふたり・犬と暮らすワーキングマザー。 仕事も読書も育児も、自分のやりたいことを全部諦めない、欲張りさんです。好奇心旺盛で、いろんなことに興味があります。
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