書評ブログを運営していると、自然とおもしろい本の情報が集まってきます。
そんな中でも、この「medium」に対する賞賛は桁違いに多かったよ!
普段あまり本を読まない人も、目の肥えた読者も、「これは面白い!」「まんまと騙された!」と声を上げていました。
数々のミステリー賞を受賞した、業界騒然の話題作です。
- 「このミステリーがすごい!」2020年版国内編 第1位
- 「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング 第1位
- 「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー
- 本屋大賞2020 ノミネート作品
ミステリー作家と霊媒師、異色の組み合わせが織りなす、予測不能のストーリー展開です。
「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」を紹介するよ!
「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」相沢沙呼|登場人物
メインの登場人物は、推理作家と霊媒師という異色のコンビ。
- 香月史郎(こうげつしろう)…警察に協力して多くの事件を解決してきた、若手の推理作家。
- 城塚翡翠(じょうづかひすい)…死者の言葉を伝えることができる霊媒師。黒く長い髪に、緑色の瞳、フリルのついた服を好む、世間知らずでお嬢様らしい女の子。
ふたりは、お互いの特技を活かし、欠点を補い合いながら、証拠のない連続殺人事件を解決していくのです。
著者、相沢沙呼さんは男性!日常の謎が得意
相沢沙呼さんは、2009年、「午前零時のサンドリヨン」で、正統派ミステリーの新人賞・鮎川哲也賞を受賞しデビューされました。
身のまわりで起こるちょっとした事件を解決する「日常の謎」ジャンルにこだわって執筆。
ポップでリズミカルな文章は、ライトノベル風の読み味で、小難しいことを考えなくても楽しめます。
実は、殺人事件を扱う本格ミステリーは「medium」が初挑戦。
お名前から、てっきり女性かと思っていたら、男性だったのでびっくり!
登場人物の描写に、男性的なエロティシズムを感じるので、読んでみて納得でした。
例えば、髪の艶やブラウスの胸元など、女性だとちょっと恥ずかしくなっちゃうような描き方をされているんです。
ちなみに、作品中で登場する、マジック(手品)は、相沢沙呼さんご自身の趣味でもあります。
ミステリー小説とマジックって、最後に種明かしするあたりちょっと似てるかも!
「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」相沢沙呼|あらすじと内容
香月は、大学の後輩・倉持結花の付き添いで、城塚翡翠の元を訪れました。
占い師に、「泣いている女の人が見える」と言われたのが気になるので、霊媒師の城塚翡翠に相談したいと、付き添いを求められます。
結花は、霊媒師のところにひとりで行くのが不安だったんだよね。
その出会いをきっかけに、ふたりは力を合わせて難事件を解決することに。
香月は、作品で培った推理能力とプロファイリングで、警察に協力して難事件を解決に導いた実績がありました。
翡翠は、死者の魂を呼び出して、犯人につながる手がかりを見つけることができます。
ですが、翡翠の証言には物証がないため、それを裏付けるためには、香月の推理力を組み合わせなくてはなりません。
また、翡翠は突然死者と同化するなど、精神的に不安定なため、いろんな意味で守ってあげないといけない存在。
この能力のせいで、これまでの人生でも、気味悪がられて友達ができなかったんだよね…。
香月は、少しずつ翡翠のことを知り、身も心も近づいていくのです。
「medium」は、短編とインタールード構成
「medium」は、短編4つと、間に起こった出来事を描くインタールードという構成。
- 【事件1】泣き女の殺人
- 【事件2】水鏡荘の殺人
- 【事件3】女子高生連続絞殺事件
- 【最終章】VSエリミネーター
ひとつの事件を描いた短編パートが3つ、そして最後に解決編。
事件を通じて、香月と翡翠が心を通わせていく様子が伝わります。
インタールードは、香月と翡翠が取り組む事件とは別の、連続殺人犯の視点。
若く美しい女性を狙った、徹底的に証拠を残さない殺人鬼が、次のターゲットを城塚翡翠に定めて動き出します。
香月さんが、ちゃんと翡翠を守ってあげなくちゃ…!
最終章では、ついに連続殺人と香月・翡翠コンビがぶつかりますが…。
どんな結末になるかは、本作を読んでみてね!
「medium」は霊媒探偵という特殊な設定がおもしろい!
翡翠の能力で犯人が分かるなら、どんな事件でも余裕で解決できちゃうよね!?
たしかに、翡翠さえいれば、犯人が分かってしまうので、謎解きだけなら簡単。
ですが、そんな不思議な能力がある前提で世の中は成り立っていないし、警察も動いてくれません。
オカルト的なものだと、鼻で笑われておしまいです。
だからこそ、香月の推理力が活かされるんだね!
香月は、翡翠が見つけた犯人に、論理的な推理を後付けする役割。
犯人は分かっているのに、証拠が見つからなくて立証できない…というジレンマがあるよ。
せっかく犯人が目の前にいるのに、逮捕できないまま、次の犯行を起こされてしまう…ということも。
それに、翡翠は、殺された人の魂が残る殺害現場でないと降霊できないので、死体を別の場所に遺棄されてしまっては、力が使えません。
もどかしい気持ち、やりきれない思いを抱えながら、それでも事件に立ち向かうふたり。
そういった設定の妙があるからこそ、さらにストーリーがおもしろくなるのです。
ただ…結末はそれもすべて裏切っていくけどね。
ネタバレ禁止だよ!続きを知りたい方は本を読んでね!
「medium」表紙イラストは遠田志帆さん
「medium」の表紙イラストは、遠田志帆さんが描かれています。
— 遠田志帆*ShihoEnta (@techicoo) March 9, 2020
最近、本屋さんで平積みになっているミステリー小説は、遠田志帆さんの表紙がとても多いんです。
印象的な瞳で、インパクトがある絵だよね!
たとえば、今村昌弘さんの「屍人荘の殺人」シリーズや、ミステリーの巨匠・綾辻行人さんなど、本当によく見かけます。
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絵の印象が強すぎて、私は最初、複数の作家さんがひとつのテーマで書いているシリーズ作品なのかな?と思ったくらい。
しかも、表紙の妖艶さに怯んで、ちょっとエロい作品なのかもしれないと敬遠していました。
エロくなかったし、イラストレーターが同じってだけでまったく別物だったよ。早く読めばよかった…。
飛躍しすぎだし、思い込みが強すぎるよ…。
「medium」の表紙の女の子はもちろん城塚翡翠ですが、なんとなく違和感がありませんか?
おとなしい性格のはずなのに、大胆不敵な笑みを浮かべています。
こんな子だったんだ…?意外だよね。
この作品を読んだあとなら、納得できるかもしれません。
「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」相沢沙呼|まとめ
「medium」は、正統派ミステリー小説が好きな方も、普段あまり本を読まないという方も、同じように楽しめる作品。
予想があっけなく裏切られる「してやられた」感、結末に向かって伏線を回収していく爽快感。
推理作家と霊媒師という、一風変わったコンビが、普通のミステリーにはないアクセントを与えています。
普通のミステリーに飽きた人には、特におすすめ!
今までの小説にはない、新しい衝撃が待っています。
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「medium」で初めて相沢沙呼さんの作品を読んだ方は、次に「マツリカ・マトリョシカ」を読んでほしい!
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カドブンインタビューで、相沢沙呼さんご自身が「mediumの次に読むべき作品」と語っているんですよ。
ラストのどんでん返し、伏線がキレイに回収されていく様子は、ミステリー小説の醍醐味。
七河迦南さんの作品では、そんなミステリー小説の良さをたっぷり味わえますよ。
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