小説

「ひと」小野寺史宜|ひとりになって感じる、人間のあたたかさ。【本屋大賞ノミネート】

ひと|小野寺史宜

こんにちは。シーアです。(@seer1118b

ひとりだけど、ひとりじゃなかった。

人のあたたかさを再確認できる、そんな小説をご紹介します。

ひと 小野寺史宜

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主人公の柏木聖輔は、決して恵まれた境遇ではないのに、誰のことも恨まないし、真面目で、フラットで、誠実な青年。

シーア
シーア
だからこそ、応援したくなるんです!

この作品は、最後の一行に、すべてが詰まっています

「この一言のために、私はこの本をたどってきたんだ」と心から感動しますよ。

ライト
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「ひと」を解説するよ!
「ひと」は2位!2019年本屋大賞まとめはこちら
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「ひと」小野寺史宜|あらすじ

「ひと」は、タイトル通り、主人公を取り巻く人々を描いたヒューマンドキュメンタリー小説。

聖輔は、調理師だった父親を交通事故で亡くしています。

母親は、地元の鳥取で、給食センターで働きながら、女手一つで聖輔を東京の大学に進学させてくれました。

しかし、二十歳の秋、その母親も急死…。

シーア
シーア
なんでこんなに不幸なの…?

奨学金を借りたとしても、返済する自信がなかったので、大学を中退。

あてもなく、お金もなく、仕事を探さなくちゃ…と思いながらも動き出せない日々。

ライト
ライト
そりゃ、両親を亡くして、そんなすぐ立ち直れないよね。

そんなとき、商店街にあるお惣菜屋さん「おかずの田野倉」で、コロッケをまけてもらったことが縁で、アルバイトを始めます。

店主の田野倉夫妻、同僚たち、大学時代のバンド仲間、高校の同級生…多くの人との関わりが、聖輔の人生を動かしていくのです。

「ひと」のキーパーソン|高校の同級生、井崎青葉

シーア
シーア
井崎青葉は、聖輔の高校時代の同級生だよ。

「おかずの田野倉」で働いているときに、たまたまお客さんとして青葉がやってきて、再会します。

ふたりは、特に仲が良かったわけではないけれど、同じ鳥取出身で、東京で会えたという偶然も重なって、ときどき会う間柄に。

青葉は、親の離婚・再婚で、聖輔が知っている苗字ではなくなっていました。

ライト
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話が合うし、お互い居心地良さそうだよね。

青葉とは、考え方が似ていて、金銭感覚が近くて…ふたりの他愛もないやり取りを見ていると、ふふっと笑ってしまうようなかわいらしさがあります。

青葉と話していて、ぽろりと漏れてしまう本音が、生身の聖輔なんだなと感じます。

大きな事件がないのに、しみじみ味わい深い小説

全編通じて、まるで季節が勝手に移り変わるように、淡々と落ち着いたトーンで進みます。

親が亡くなって、悲しくても、日々は続く…。

声を上げて泣いても、ドラマのようにシーンが切り替わったりはしないし、いつかは自分で泣き止んで、次の行動を起こさないといけない。

そんな現実が生々しいんです。

ライト
ライト
最初から最後まで、大きな出来事はないよね。
シーア
シーア
まあ、聖輔にとっては、両親を亡くすことそのものが大事件なわけだけどね…!

聖輔は、父を突然亡くしているので、父から仕事の話を詳しく聞いたことはありませんでした。

そこで、父が働いていた料理屋を回って、父を知る人に会いに行きます。

「父の人生を辿ろう」と意気込むわけではなく、「見ておきたいな」「ちょっと話でも聞けたらいいな」といった、ほんのりした動機が、なんともリアリティがあるんです。

シーア
シーア
現実だったら、確固たる決意なんかなくて、なんとなく…で動くよね。

おぼろげな情報なので、ときには、けんもほろろに「知らない」と断られることだってあります。

でも、それもまた人生。自分の思うようにならないこともあります。

ライト
ライト
相手の反応をしなやかに受け止めるのが、聖輔のいいところだね。

人はひとりでは生きていけない。心のつながりが人を生かす

家族がいなくなって、たったひとりになった聖輔。

ですが、「おかずの田野倉」や商店街の人たちのあたたかさに救われています。

シーア
シーア
読んでいる私も、聖輔のことを親戚の子みたいに思ってしまう…。

聖輔自身が、歩いていたら何気なく道を空けてくれるような、そんな人柄だから、みんな応援したくなるんです。

おかずの田野倉の店主、督次さんのセリフが印象的。

「聖輔は人に頼ることを覚えろ」

一方で、母の親戚で、葬儀のときに手伝ってくれた基志おじさんは、お金を無心してきます。

シーア
シーア
赤の他人が、聖輔を助けて、親身になってくれてるっていうのに…。

血のつながりよりも、心のつながり

だから、聖輔はひとりだけど、本当の孤独ではないのです。

最後の1行のために、「ひと」を読んでほしい

シーア
シーア
この作品は、最後の1行のためにあると断言します!

聖輔の人生のうち、1年間を切り取った本作。

最後の一言のために、彼の1年間はあったのだと思います。

両親を亡くしても、環境を受け入れ、自分を変えることで適応してきた聖輔が、自分のために発した一言だから。

聖輔は、これまで、いつも何かを手放してきました。

そもそも、おかずの田野倉で働き始めたのも、コロッケをおばあさんに譲ったのがきっかけ。

青葉に再会したときも、さりげなく道を空けてあげていました。

バンド時代に大切にしていたベースも、パートの一美さんの息子にあげてしまう。

親戚がお金を無心してきたら、お金を渡してしまう。

だけど、そんな聖輔が、これだけは譲れなかったもの

ライト
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ぜひ、作品を読んでみてほしいな。

読後感は最高で、余韻がしみじみ長く続きます。

シーア
シーア
聖輔のこれからが、幸せであればいいな…。
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